≪令和7年度税制改正と年末調整≫

こんにちは、経理の辻です。
11月に入り、会社員の方々にとっては毎年恒例の年末調整の時期がやってきました。
今回のブログでは、今年の年末調整の特徴について取り上げてみたいと思います。
今年(令和7年)の年末調整では、例年より多めの還付金が発生する可能性が高いと言われています。
その理由は、令和7年度税制改正で「控除額の引き上げ」や「控除の適用範囲の拡大」が行われ、結果として所得税が軽減される方向の改正となっているためです。
ただし、今年の給与にはすでに新しい税制が反映されていたかというと、実はそうではありません。
令和7年度税制改正関連法の施行日は令和7年12月1日で、それより前の給与には新しい源泉徴収基準が適用されていないのです。
つまり、11月までの給与は改正前の基準で源泉徴収されており、改正内容が実際に反映されるのは、12月の年末調整が最初ということになります。
そもそも年末調整で還付金が生じるのは、給与から天引きされた所得税額が、1年間の実際の税額よりも多かった場合に、その差額が返金される仕組みによるものです。
今年は、旧基準で源泉徴収された税額を、年末調整で新基準に基づき再計算することになるため、例年よりも差額が大きくなり、結果として還付金が増える可能性が高いと考えられます。
なお、この状況は今年特有のもので、令和8年分以降の給与については源泉徴収の段階から新基準が適用されるため、今年のようなズレは生じません。
ここで昨年(令和6年)を振り返ると、前年には定額減税という特例的な制度がありました。
定額減税は、令和6年6月以降の給与から減税分を源泉税額から直接控除する仕組みだったため、給与支払い時点で減税の効果が即座に反映されていました。
一方、今年の税制改正は「施行時期の関係で、年末調整でまとめて反映される」という違いがあります。
また、減税の内容も異なるため、昨年と今年どちらのほうが実際に納めた税額が多くなるかは、所得や家族構成などによって人それぞれ異なります。
令和7年分の源泉徴収票が発行されたら、昨年分と見比べてみると、控除額の違いや最終的な所得税額の変化が分かり、興味深いかもしれません。
参照元:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/



